自己破産をしたいが、借金の保証人がいる場合の問題点について、対応方法なども含めて解説いたします。
自己破産と保証人の責任
まず、大前提ですが、ご自身が自己破産をしたとしても保証人の責任はなくなりません。むしろ債権者はお金を貸した相手が自己破産などの手段で回収不能になる事に備えて、保証人をとっているからです。
債権者の保証人に対する督促
督促や訴訟、差し押さえ
それでは、自己破産をすることを決めた場合、保証人へはどのように対応すべきでしょうか。
まず自己破産をすることを弁護士や司法書士が債権者に通知した場合、債権者は保証人から残債の回収を図ります。
そのため、保証人に対して、電話や手紙、訪問などで督促をするでしょう。
場合によっては保証人に対して貸金返還の裁判を起こす事も考えられます。
その後勝訴判決がでれば、保証人の給料や銀行預金などを差し押さえられてしまいます。
そのため、保証人にはかなりの不利益が及びます。
まずは保証人に対して誠実に自己破産をする事の説明をして今後の対応を促すべきです。
期限の利益の喪失
なお、今までは契約上、借金の返済は分割の支払でもよかったかもしれません。
しかし自己破産をするとなれば話は別です。
通常弁護士や司法書士からの通知をもって信用失墜行為とみなされます。そして期限の利益がなくなります。
- 期限の利益喪失条項の例
1. 借主は、以下の各号のいずれかに該当する事由が発生した場合には、本契約に基づく一切の債務について当然に期限の利益を失い、貸主に対して直ちに当該債務を弁済しなければならない。 (1)借主が支払不能若しくは支払停止の状態に陥ったとき、又は手形若しくは小切手が不渡りとなったとき (2)借主について破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、特別清算開始その他の倒産手続開始の申立てがあったとき |
そうすると残債について保証人に一括請求ができるようになります。
例えば、100万円の残債について毎月2万円ずつの返済でよかった。それが借主が自己破産をするので期限の利益がなくなった。そのため100万円を一括で払ってほしいとなるわけです。
またそれだけではなく、一括金を払うまで、毎日高利な遅延損害金もつきます。そのため、借金は完済まで毎日増えていきます。
保証人からすれば寝耳に水です。
一括で返済するお金を準備できればよいですが、それが難しい場合もあるでしょう。
保証人の対応策
保証人と債権者の直接交渉
その場合、保証人はどうすればよいでしょうか。
一つの方法としては以前の借主と同じように毎月の支払を分割にしてほしい旨債権者と直接交渉をする事です。
この交渉が大変でしたら保証人も弁護士や司法書士に依頼して代わりに交渉してもらうという方法もあります。
保証人自信も自己破産をする
また保証人は分割でも返済が難しい経済状態かもしれません。その場合は保証人も一緒に自己破産をするという事が考えられます。
自己破産と奨学金の保証人
自己破産をするときに保証人がよく問題になるのは、奨学金です。
日本学生支援機構や大阪府育英会などですが、よく融資時に保証人をとっているからです。
この保証人ですが、機関保証の場合と、親などの親族や知人の場合があります。
機関保証の場合
機関保証は、保証料を払う事により保証人になってくる保証会社です。
自己破産をする際に機関保証だった場合は、かなり有利です。その保証会社があとは借金を肩代わりしてくれるからです。
そのため、特に問題となる事はございません。
親などの親族や知人が保証人の場合
この場合は自己破産をする事で、奨学金の残債は保証人である親族や知人に請求がいってしまいます。保証人である以上仕方のない事です。
また奨学金は通常数百万単位の残債がある事が多いです。その分保証人の責任も大きいものとなってしまいます。
ご両親が、収入や財産がない場合は保証人も一緒に自己破産をした方がよいでしょう。
以上、自己破産をするときに保証人がいる場合の問題点について解説いたしました。
保証人には自己破産で多大な迷惑がかかりますので、できるだけ早く保証人に自己破産の事実を伝えて、上記のような対応策をとってもらうべきです。
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