任意整理のメリットデメリット

任意整理のメリット・デメリット
目次

任意整理のメリット

 任意整理のメリット、デメリットを解説いたします。

 まずはメリットです。

 任意整理は自己破産、個人再生と異なり、裁判所を通さない手続きです。そのため、破産法や民事再生法の規制がなく、柔軟な対応が可能となります。

1,一部の債権者の除外が可能

 任意整理は、債権者平等の原則というルールがありません。あくまで司法書士と業者との私的な話し合い、交渉です。そのため、一部の業者を任意整理の対象から除外する事もできます。

(1)保証人がついている債権者の除外

保証人に迷惑をかけたくない!

 奨学金などの借金に多いのですが、ご両親が保証人になっている事があります。この場合に自己破産や個人再生をすると奨学金も整理の対象になります。

 その結果、保証人に残債の督促がいってしまいます。

 これを避けたい場合、任意整理がベターです。任意整理は一部の業者の除外が可能だからです。

 奨学金は除外して、今までどおり返済をする事で保証人には迷惑をかけずにすみます。

(2)車のローンを除外

車は処分したくない!

 車を購入する時にローンを組む事があります。その場合、担保のために車検証の名義はローン会社のままにしておくことが多いです。

 しかしこの状況で自己破産や個人再生をすると、担保となっている車を業者に取り上げられてしまいます。

 どうしても車が必要な場合、任意整理にします。そうすれば車のローン業者を除外する事ができるので処分せずにすみます。

(3)特別の関係にある債権者を除外

親族や友人、勤務先に迷惑をかけたくない!

 借金は業者だけとは限りません。ご両親や兄弟、親戚、友人や勤務先から借りているという事もあります。

 この場合も任意整理ですと、これらの特別の関係にある債権者を除外できるので、迷惑をかける心配はありません。

2,家族に秘密で進める事ができる

 自己破産や個人再生は集団的な法的債権処理となります。そして様々な書類を裁判所に提出する必要があります。

 例えば家計簿です。毎月の家計の管理を同居の家族にまかせている場合はご自身で家計簿を作成するのが難しいです。この場合、家計の管理を任せている家族どうしても自己破産や個人再生の説明をする必要がでてくるでしょう。

 また配偶者の給料明細や、通帳のコピーなども提出するのが原則です。

 この点、任意整理は業者からこういった書類の提出までは求められないので、家族に秘密ですすめていく事ができます。

3,手続きが楽

 自己破産や個人再生は裁判所の手続きのため、場合によっては裁判所に出向く必要があります(裁判官との面接や債権者の集会など)。

 また通帳や給料明細その他、財産の証明書など様々な書類を提出する必要があり、結構手間です。

 これに対して、任意整理は司法書士が業者と交渉をして和解をするだけですので、依頼者の方の負担はありません。

任意整理のデメリット

 他の債務整理に比べて柔軟な対応が可能なのは任意整理のメリットです。一方で下記のデメリットもあります。

1,任意整理後は5年間、借入ができなくなる

 任意整理の手続きを行うと、その情報が信用情報機関に事故情報として登録されます。

 新しく借入の申し込みを行うと、貸金業者は信用情報機関に登録されている情報を確認します。信用情報機関に事故情報の登録があると、通常貸し付けは行わないと思われます。

 ただ、他の債務整理方法を選択した場合も、期間は異なりますが、信用情報機関へ登録されてしまいます。ですので、任意整理独自のデメリットというわけではありません。

2,任意整理に応じない業者もいる

 街金融などは任意整理に応じないスタンスをとっている業者があります。また大手の会社でも、取引期間が短い場合は任意整理に応じてくれない事があります。

 どこまでいってもこれが話し合いの限界です。

 相手が和解に応じてくれない業者が多い場合は、最初から個人再生や自己破産を検討された方がよいです。

3,元金の減額、免除がない

 任意整理は、今後の利息がカットされるものの、原則として現在の元金自体のカットまでは認めてくれません。自己破産や個人再生のように借金の全額または一部を免除してもらう手続きとは大きく異なるところです。

 そのため、自己破産や個人再生の手続きと比べて、毎月の返済額も多くなるのが一般的です。

  ▽借金の総額が300万円の場合   

任意整理個人再生自己破産
手続き後、どこまで借金が減るか300万円100万円0円
毎月の返済額(任意整理5年、個人再生3年の場合)6万円3万円0円

 上記のように任意整理は元金のカットが認められません。個人再生より返済期間を長くしても、返済額は一番大きくなってしまいます。

 毎月の返済額を少しでも減らしたい場合は個人再生や自己破産を検討された方がよいでしょう。

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